口絵解説
妊婦のための保健指導—団地の場合,商家の場合
勝島 喜美
1
1公衆衛生院看護学部
pp.10-14
発行日 1960年9月1日
Published Date 1960/9/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1611201977
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
妊娠は生理的現象である.しかし,妊娠の生理は不安定である.故に,健康で社会に生活できるといういろいろの条件に,プラス,健康な妊娠生活を過すに必要な条件の加味された生活が必要になる.健康な妊娠とは,ただ単に健康な子供を得る意義のみでなく,母体が妊娠中を快適に過し,正常分娩を行いうるような条件をつくり,分娩後は,健康で社会に復帰し,そのうえ健康な妻,母親(哺育者)としての条件をつくる基礎をも含んでいる.妊婦保健指導とは,健康な妊娠を保ち,増進するように,その妊婦,家族を援助することである.
妊娠の生理については,我々,産科学で学んでいる.この生理に結びついた合理的な妊娠の摂生についても学んでいる.しかし,1人,1人の妊婦の身体的,精神的,社会的条件が異なるので,健康な妊娠を保ち,更に,これを増進するような一定の線に,各妊婦が達するには,各妊婦それぞれ,少しずつ異なる方針と方法が必要である.故に,妊婦保健指導は画一的ではいけない.戦後,我々は,母親学級について学んだ.そして各所で行われている.母親学級とは,同じ妊娠という条件にある人々のグループに,その必要な知識を与える学級として,大変有効な方法である.妊婦が,この学級によつて,いろいろの知識を得,自分自身の生活に上手に活用し,実行するならば,母親学級の効果はある.
Copyright © 1960, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.