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はじめに
オーストラリアは,正式にはオーストラリア連邦(Commonwealth of Australia)といい,6つの州と北部準州,ならびに首都特別地域(キャンベラ)から成る世界最大の島大陸であり,資源に恵まれた国である。総面積は約769.2km2,日本の約20倍である。しかし,人が住むには適さない砂漠や沼地,荒地が多く,人口約1972万人(2002年9月)の大半は東海岸を中心とした大都市(シドニー,メルボルン,ブリスベン,アデレード)そして西オーストラリアの州都パースに集中している。
建国の歴史から英国系移民が多く,現在はそれ以外のヨーロッパ諸国やアジア地域からの移民も急増している。現在の人口比率は,先住民族であるアボリジニーが約2%,白人系が約92%,アジア系が約6%であると言われている。積極的に移民や難民を受け入れてきた影響から,65歳以上の人口比率は1991年が11.2%,1996年が12.0%と,先進諸国の中では高齢化は緩やかであったが,2020年には22.4%に達すると予測されており,高齢者ケア財政増加への対策が大きな課題となっている。2000年の平均寿命は男性が76.6歳,女性が82.1歳である。
本稿は,国内で入手できる文献や資料に加えて,西オーストラリア州とビクトリア州の看護登録局局長との面談,Edith Cowan University,La Trobe University,University of Sydneyの各大学関係者へのインタビューならびに病院施設見学などを含めてまとめた。ただし,オーストラリアは連邦政府の方針と州による自治から規定や方策が定められており,本稿では全容を語りきれないことをお含みおきいただきたい。
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