特別記事
横浜市大病院患者取り違え手術事件に対する看護管理者の思い
神部 周子
1,2
1㈳神奈川県看護協会
2前横浜市立大学医学部附属病院
pp.616-619
発行日 2003年8月10日
Published Date 2003/8/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1686100880
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はじめに
1999(平成11)年1月11日,横浜市立大学医学部附属病院(以下,横浜市大病院)において「患者取り違え手術事件」が発生した。事故直後のニュースを聞いた多くの看護職は,「どうしてそんなことが起こるの?」「手術室看護師は術前訪問をしていないの?」という疑問や意見をもち,または「うちの病院では起こることはない」と感じられた管理者も多かったと思う。しかし,このニュースを聞き,自分の病院では「患者取り違え手術事故は発生しないだろう」ということは言えても,「事故の起こらない環境を整えている」と明言できただろうか。
本件事故発生から約3か月後の1999年4月,筆者は横浜市立大学医学部附属病院に看護部長として就任した。2年の在職期間のなかで,安全管理体制再構築の過程に関わり,その後,神奈川県看護協会に移り,会員支援の一環として,それまでとは異なる立場から本件に関わることになった。
本稿では,看護師の量刑が確定した今,改めて当時を振り返り,看護管理者の役割と責任とは何だったのかを考え,本件事故を貴重な教訓とし,一看護管理者としての思いを込め,今後の課題について検討する。
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