特別記事
看護師にとって「患者の権利」とは―「看護倫理」の土台を踏み固めるために検討すべきこと
板橋 真木子
1
1立正大学文学部社会学科
pp.620-624
発行日 2003年8月10日
Published Date 2003/8/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1686100881
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「患者の権利」の自明性をめぐる違和感
看護師の「患者の権利」への関わりについては,すでに積極的に定義づけが行なわれ,主として看護倫理に盛り込まれてきた。その内容は発展途上の段階で,詳細に見れば理解も多様であるが,看護師は「患者の権利」を尊重するべき存在であり,それを前提とした「患者の擁護者・代弁者」という重要な役割を担うべきであるという認識は,ほぼ共通しているように見受けられる。
筆者は,これまで社会学の立場から,知識としての「患者の権利」とその自明性を考察するという作業を続けてきた1,2)。知識に含まれる対象は,科学的知識のような明瞭で論理的な知識から不明瞭で非論理的な知識まで幅広い。よって人が知っている,認識しているその内容全般を知識と言うことができ,そのように考えれば当然「患者の権利」も知識の1つと言える。
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