新連載 読み解き能力で看護現場を変える・1
研修に 〈メディア・リテラシー〉 を取り入れてみる―患者への説明は,白紙に書き込むのとは違う
前田 久美子
1
,
大木 正枝
2
,
舛森 とも子
3
,
奥泉 香
4
,
高橋 高美
5
,
赤池 淑美
6
1大森赤十字病院
2成田赤十字病院
3葛飾赤十字産院
4杉野服飾大学
5武蔵野赤十字病院
6山梨赤十字病院
pp.544-548
発行日 2003年7月10日
Published Date 2003/7/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1686100866
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はじめに
今日,私たちの生活は,テレビ,新聞,雑誌,インターネットなど,さまざまな情報をもたらすメディアであふれている。そして私たちは,これらのメディアによって,いま国内外のどこでどのようなことが起こっているのかを把握している。
このような高度情報化社会においては,当然ながら医療を受ける人もまた,さまざまな情報をもち,来院する。しかし,情報は,その伝え方やとらえ方で,正しく伝わったり,歪んで伝わったりするものである。実際に日常の看護現場においても,情報の行き違いでさまざまなトラブルに遭遇することがある。従来は,そのトラブルの原因の多くを,人の問題として捉えてきた傾向がある。しかし,筆者らは,その原因としてその人の認識をつくる情報やメディアに焦点を当てて考察する重要性を指摘したい。このことによって,看護する側もされる側も,各自の認識が,何を根拠にどう形成されてきたのかを問い直す契機となると考えたからである。
そこで,本稿から6回にわたって,メディアを通した医療情報の吟味と,その読み解き能力について考えてみたい。第1回は,この視点を取り入れた看護係長研修の概要を中心に報告する。
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