研究報告
外来におけるニアミス・ミスおよび苦情の発生に影響を及ぼす要因
高山 道子
1
,
武村 雪絵
2
,
武谷 佐枝子
1
,
田中 孝子
1
,
戸崎 恵美
1
,
宮原 房代
1
1労働福祉事業団東京労災病院看護部
2東京大学大学院医学系研究科看護管理学分野
pp.283-287
発行日 2003年4月10日
Published Date 2003/4/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1686100812
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はじめに
いま急性期の医療機関では,入院期間の短縮化が進み,外来に通院をしながら化学療法や高度の治療を受ける患者が増えており,外来に勤務する看護師には診療の補助や窓口業務だけでなく,高度な技術や観察力も求められるようになってきた。
しかし,看護師の忙しさと医療ミスには関連がある可能性が指摘されており1),今後外来機能の高度化に伴い,外来の看護師が医療ミスの当事者になる危険が高まると思われる。
また,医療ミスには,患者の障害・疾病についての医療従事者の知識,認識,興味,理解不足だけでなく,患者とのコミュニケーション不足も影響していると指摘されている2)。病棟とは異なり,外来では面識のない多数の患者に対応しているため,個々の患者の病態や生活環境を把握できないばかりでなく,患者とのコミュニケーションも不足する傾向がある。
これらのことから,外来の看護師はミスを起こしやすい状況にあると考えられ,外来看護業務の実態や潜在的な事故の危険性について把握し,必要な対策を講じる必要がある。さらに,看護するにあたって業務上必要とされる注意を怠って,患者に不満を与えることも広い意味での事故であるという見解があり3),苦情や患者とのトラブルの発生要因についても調べる必要がある。
本研究は,外来看護業務で発生するニアミス・ミスおよび苦情・トラブルの実態を把握すること,さらに看護師の忙しさがそれらの発生に影響するか否かを明らかにすることを目的とした。
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