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病院の看護師配置と患者死亡率・看護師の燃え尽き状態・仕事に対する不満足の関係
Hospital Nurse Staffing and Patient Mortality, Nurse Burnout, and Job Dissatisfaction
上條 優子
1
,
菅田 勝也
1
Linda H. Aiken
,
Sean P. Clarke
,
Douglas M. Sloane
,
Julie Sochalski
,
Jeffrey H. Silber
1東京大学大学院医学系研究科修士課程・看護管理学分野
pp.204-207
発行日 2003年3月10日
Published Date 2003/3/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1686100799
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はじめに
この10年間は,米国の病院とそこで働く看護師にとって激動の時代であった。病院では,看護師などの人員不足は深刻で,マスコミが警鐘を鳴らす一方で,全米の看護師も,口をそろえて,病院には安全で効果的なケアを提供するための十分な看護師がいないと訴えている。さらに,医師も,看護師不足は質の高いケアを妨げていると認めている。
この看護師不足は過酷な仕事量と関連があるようだ。調査では,病院で働く看護師の40%は燃え尽き状態にあり,医療従事者全体の平均値より高い。職務不満足も,米国労働者一般の平均と比較して,看護師は4倍高く,5人に1人は1年以内に離職したいと答えている。
1999年に,カリフォルニア州は,病院における看護師と患者数の比率を定める法律を可決した。施行は2003年7月からである。この法律は,看護師不足と,離職率の高さが,過酷な労働条件,高い燃え尽き状態および職務不満足と関連があるという認識をもとにしている。
実際,一般内科,外科病棟では,看護師1人あたり受け持ち患者3~10人(1:3~1:10)という比率が提案されている。しかし,病院経営者らは,看護師数が最も少なくてすむ比率でよいと考えている。そこで,2002年はじめ,カリフォルニア州政府は,2003年7月までに各病院では少なくとも1:6の比率を確保するように通知した。この比率は,法律が完全に施行されるまでに,1:1~1:5の間で変動する可能性もある。
このような現状を踏まえ,本研究では,看護師配置と外科患者の死亡率や非救命率の関連,および看護師配置と看護師の離職に影響を及ぼす因子を決定することを目的とした。
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