特別記事
心身分析による看護職員の「忙しさ」とヒューマンエラーの関係―人員増で防げるもの,防げないもの
藤田 茂
1
1東邦大学医学部病院管理学研究室
pp.120-123
発行日 2003年2月10日
Published Date 2003/2/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1686100784
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はじめに
ある夜勤の新人看護師が,点滴の準備の際に「生食200ml」の指示のところ,誤って「生食300ml」を手に取って混注してしまいました。その看護師は,インシデントレポートの中で,自分の起こしたヒューマンエラーの原因を次のように分析しています。
(1)生食に200mlと300mlの2つの規格があることを知らなかった。
(2)手に取った生食を200mlのものと思い込み,確認を怠った。
(3)夜勤が2人しかおらず,ナースコールの対応に追われ忙しかった。
(1)や(2)については,使用頻度の多い規格に統一し,2種類の規格を併用しない(病棟に置くものを1つに統一する)といった対策などが有効でしょう。ここで問題となるのは(3)です。インシデントの分析報告の中には,(3)のように,忙しさや人員不足をヒューマンエラー(以下エラー)の原因として挙げているものもあります。しかし,根拠も明確にしないまま,忙しさや人員不足とエラーを安易に(直感的に)結び付けてはいないでしょうか? また,あらゆるエラーを忙しさや人員不足と関係づけてしまっても良いのでしょうか?
これらの疑問を解決すべく,谷村の心身分析1) を利用して,忙しさとエラーの関係を分析しました。
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