特集 発生リスクをみきわめる! 褥瘡予防の知恵とワザ
褥瘡はなぜできるのか・どうすれば防げるのか
大浦 武彦
1,2
1医療法人社団廣仁会 褥瘡・創傷理療研究所
2日本褥瘡学会
pp.218-224
発行日 2003年3月1日
Published Date 2003/3/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1661100929
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褥瘡はなぜできるのか
今日まで褥瘡のできる原因として教科書的には「圧迫×時間」といわれていたが,これは不十分でありどちらかというと間違いである.本来は「応力(圧縮応力,せん断応力,引張り応力)×時間×頻度」が正しい.
褥瘡発生の直接の原因
褥瘡と応力(図1)1)
生体内における力は応力として表わされるが,脊柱を持った人体が仰臥位となると,組織内における引張り応力,圧縮応力,せん断応力(以下,ずれ力)の3つの応力が複雑に複合して組織内の血流不全状態を引き起こして,褥瘡を発症させる.
生体外面の皮膚とマットレスの間には表面接触圧がかかるが,円柱状(骨)の直下では圧が高く,それから離れた部位では低くなる.
生体外面表皮部とマットレスの間に摩擦力が働く際に,それが皮膚表層に集中すると水疱を形成しステージⅡの褥瘡を引き起こす.摩擦力がより組織の内部に影響を及ぼすと「ずれ力」となり,荷重も加わって深層の褥瘡を悪化させたり,ポケット形成を引き起こす.
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