連載 看護にとっての経営学・3
看護管理とリスクマネジメント
青木 菜穂子
1
,
松村 啓史
2
1トータル ライフケア プロモーション
2テルモ株式会社 経営企画室
pp.1032-1038
発行日 2006年12月10日
Published Date 2006/12/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1686100715
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リスクマネジメントの概念は2つ
病院でのリスクといえば,すぐに頭に浮かぶのが医療事故,医療過誤でしょう。そのため昨今では,医療事故対策をリスクマネジメントと呼称しているケースが多いようですが,本来は経営全般,組織全般に係るマネジメントの総称です。英和辞典で「Risk management」を調べると「危機管理」と訳されています。一方,広辞苑で「リスクマネジメント」を調べると,次のように解説されています。「企業活動に伴う様々な危険を最小限に抑える管理運営方法」。これがリスクマネジメントの本来の意味です。このリスクマネジメントはさらに2つに大別できます。一つは,「経営リスク」。もう一つは「災害リスク」です。本稿では「経営リスク」を中心に説明します。
リスクマネジメントのコツは,「事前対応」と「事後のスピード対応」です。具体的には,事前に対策を講じてリスクを発生させない,そして問題が起こったときにリスクを最小限に抑えることです。リスクが発生し,事後対応が悪くてひとたび大きな事件や社会問題になってしまうと取り返しのつかないことになり,ひいては病院存続の危機にさらされます。
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