連載 医療安全管理の実践・7
リスクマネジメント
長谷川 敏彦
1
Toshihiko Hasegawa
1
1国立保健医療科学院政策科
pp.74-80
発行日 2004年1月1日
Published Date 2004/1/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1541100754
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企業や政治で使われてきた危険管理(risk management)の概念や歴史をレビューすることによって,その医療界への応用の可能性と問題点について述べてみる.
元来,企業や政治の活動は危険管理と深いかかわりを持ってきた.例えば,企業の場合,新たな商品を開発し,市場に参入する場合,失敗の可能性が高い分野こそ大きな成功の可能性があり,失敗の可能性が高いほど,他の企業の参入の障壁が高く,大きな利益の可能性があり,いわゆるハイリスク,ハイリターンが原則とされる.したがって,危険管理は経営管理や経営戦略の本質とさえいえるのではなかろうか.また,政治においても,刻々と変化する国内外の現象に対応した機敏な意思決定が必要で,危険管理あるいは危機管理をその活動の根幹に据える必要があるといえよう.
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