連載 新人看護職者の看護実践能力を育成する―教育プログラム開発【最終回】
大卒新人看護職者の看護実践能力を育成する教育プログラムの評価
佐藤 禮子
1
,
大室 律子
2
,
佐藤 まゆみ
2
,
根本 敬子
2
,
新野 由子
3
,
太田 節子
4
,
門川 由紀江
5
,
濱野 孝子
5
1放送大学
2千葉大学看護学部
3医療経済研究機構研究部
4滋賀医科大学医学部看護学科
5千葉大学医学部附属病院
pp.90-95
発行日 2007年1月10日
Published Date 2007/1/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1686100698
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はじめに
本稿は,連載テーマ「看護系大学卒後1年間の新人看護職者の看護実践能力を育成する教育プログラム開発」最終回として,開発した教育プログラムを1年間にわたって実施した結果の評価について述べることが目的である。
近年の大卒看護職者に求められる卒業直後からの能力は,看護専門職としての質の高い看護実践能力である。しかし看護実践能力は,その特質として,専門職者に認められた業務遂行を通して習熟されることが多い。したがって,大学卒業直後から要求される能力は,看護実践の基礎的能力として,最も基本的で必要不可欠である範囲にとどまると考えられる。人の生命に関わる職業として,看護職者には,確実性,倫理性,安全性,さらには利用者の時間を無駄にしない効率性や費用対効果といった事柄が要求される。
現場で果たされる教育,いわゆるOJT(On the Job Training)で育成される看護実践能力については,確かなものとして明らかにされていない。特に看護実践能力は,人(患者・利用者など)との関係を通して,その成果や効果が明らかになることが多く,本人の資質と能力に磨きをかける人的・物的土壌が大きく関係すると考えられるものである。しかし,これらの事柄についても,多く語られてはいるが,確かな考えには至っていない。
卒業生を送り出す大学教員にとっては,看護現場に看護専門職者として就職する一人ひとりの成長を期待すると同時に,不確かな未来に戸惑う卒業生の心境と同化してしまうことがしばしばである。
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