連載 管理者に求められる医療安全スキル・9
新卒看護師への医療安全教育
恩田 清美
1
1東京海上日動メディカルサービス株式会社
pp.84-89
発行日 2007年1月10日
Published Date 2007/1/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1686100697
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はじめに
新卒看護師の多くは,医療現場で自分の知識や技術に不安を感じたり,コミュニケーションに困難さを感じたり,理想と現実のギャップに悩んでいる。医療が高度化し,より専門的な知識や技術が求められるとともに,国民の医療安全の意識の向上やマスメディアからのさまざまな医療事故報道もあり,新人は期待よりも不安が大きい状況で仕事をしている。
新卒看護職員が仕事を続けるうえで悩みの上位3項目は,(1)「専門的な知識・技術の不足」76.9%,(2)「医療事故を起こさないか不安」69.4%,(3)「基本的な看護技術が身についていない」67.1%であった1)。この結果からも,新卒看護師に対して医療安全対策をふまえた卒後教育が必要となる。
医療事故やヒヤリハットは,さまざまな人々,さまざまなシステムが複雑にかかわり合い,そのなかで事故やヒヤリハットが防御されるべき壁をすり抜け,危険要因の連鎖が生じた結果,起こるものと考えられる。そこで,卒後教育を考えるときには,チーム医療(コミュニケーションを含む)・要因の連鎖・個人の能力・組織の能力・職場環境(システムを含む)などの視点から医療安全教育に取り組むことが重要になる。
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