短期連載 看護職者の派遣労働[1]
労働者派遣法はなぜ成立したのか?―立法・改正過程をめぐって
田中 幸子
1
1北里大学看護学部
pp.490-494
発行日 2004年6月10日
Published Date 2004/6/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1686100494
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はじめに
近年,転職情報誌や新聞などで,看護職を対象とした職業紹介や仕事を斡旋する企業広告がよく目に飛び込んでくる。看護職に対するニーズは,病院だけでなく,旅行時の付き添いや治験分野などにも広がりが見られる。同時に,仕事と家事・育児,あるいは学業との両立を考え,比較的時間の調整がしやすい派遣労働を希望する看護職者もいる。実際に新たな雇用形態が成立していることは,看護職者と使用者側とのニーズが一致した結果とも言える。2004(平成16)年3月1日に解禁となった医療分野における看護職者の派遣労働は,多様な雇用形態のあり方として看護界に定着するのだろうか。
さて,この派遣労働には,一般労働者派遣と特定労働者派遣とがある。特に議論の的になる一般労働者派遣とは,仕事を斡旋する派遣会社(派遣元)に名前を登録しておき,人材を求める企業や施設(派遣先)の依頼があった場合にその企業・施設に赴き仕事をするものである。最近では,少子化傾向から将来的には,看護職者の派遣労働者は必ず必要になってくると思われるので,仕事を継続してもらうにはハード面の充実だけでなく勤務形態,雇用形態がどのようなものであれば続けられるのか,これまでの枠を外して考えることが必要だとの意見も出てきている1)。
本稿では,今後,看護職が制度改正に対応していくために,現場の看護管理者にとって,職員採用の際の参考となるであろう労働者派遣に関する制度と現状について説明する。
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