連載 医療安全とコミュニケーションを考える・最終回
医療従事者間のコミュニケーションの実情とコミュニケーションエラーによる事故防止対策
嶋森 好子
1
,
由井 尚美
2
,
佐相 邦英
3
,
福留 はるみ
4
1京都大学医学部附属病院
2全国社会保険協会連合会
3(財)電力中央研究所ヒューマンファクター研究センター
4神奈川県看護協会
pp.138-142
発行日 2004年2月10日
Published Date 2004/2/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1686100438
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はじめに
医療従事者間のコミュニケーションが適切に行なわれないために生じる事故の報道が多く聞かれる。例えば,「KCl(塩化カリウム)を指示された」「先輩看護師が注射薬を準備してきた看護師にボトル内に入れてもらうつもりで『横から入れて』と言ったところ,側管の三方活栓から直接注入した」という事例である。この事例では,指示した側が言った「横」という言葉と,指示を受けた看護師の「横」という言葉の意味が違ったことと,準備した看護師がそもそも用意した薬剤の適切な使い方や,その作用機序を知らないままに,先輩から言われたこと(言われたと思ったこと)をそのまま何の疑いもなく実施したことにある。
このようなコミュニケーションエラーによって多くの事故が生じており,これを防ぐことが急務である。今回は,これまでの研究結果を踏まえ,医療現場のコミュニケーションのあり方について考えてみたい。
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