連載 医療安全とコミュニケーションを考える・3
ヒューマンファクター分析でコミュニケーションエラー事例の背景要因を探る
嶋森 好子
1
,
佐相 邦英
2
,
由井 尚美
3
,
大島 敏子
4
,
福留 はるみ
5
1京都大学医学部附属病院
2㈶電力中央研究ヒューマンファクター研究センター
3全国社会保険協会連合会
4横須賀北部共済病院
5神奈川県看護協会
pp.992-998
発行日 2003年12月10日
Published Date 2003/12/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1686100953
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
はじめに
厚生労働省は同省ホームページ1) で,「医療安全対策ネットワーク整備事業」として,「特定機能病院,国立病院・療養所の医療機関を対象に,インシデント事例(患者に傷害を及ぼすことはなかったが,日常診療の場でヒヤリとしたり,ハッとした事例)を収集し,集計・分析した結果等を広く医療機関,国民に公表する」事業を行なっている。表1および図1は,その第5回目の集計結果の一部である。報告された全8375事例のうち,実に5268事例が「確認が不十分であった」としている。処方・与薬だけを見ても「確認が不十分」が最も多いことがわかる。
筆者は,この事業の重要事例の分析班長として,今年度から参加して,重要事例(次のいずれかに該当するもの)の分析に関わっているが,この重要事例の分析のなかでも,伝達ミスなど,医療従事者間のコミュニケーションの不備によるエラーの発生が多く報告されている。
Copyright © 2003, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.