連載 医療安全とコミュニケーションを考える・2
コミュニケーションでエラーを防ぐ
松尾 太加志
1
1北九州市立大学文学部
pp.902-907
発行日 2003年11月10日
Published Date 2003/11/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1686100937
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エラーは一人のものではない
人間による失敗(ヒューマンエラー)は,自分では気づかないことが多い。気づいていれば,自分で修正すればよいのだが,気づかないため,そのまま見過ごしてしまって事故につながってしまう。
ヒューマンエラーは,心理学的に考えると必ず発生するもので,完全になくすことはできない。医療事故防止のためには,エラーが生じても事故に結びつかないように,どこかで防御できる体制をとることが大切である。医療は,一人で行なうものではなく,患者,医師,看護師,薬剤師,技師など複数の人間が関わる。誰かがエラーを起こしても,他の誰かが気づけば大事に至らない。エラーをしてしまうのは個人であるが,仕事を集団(チーム)として行なっているのであれば,そのエラーはチームのエラーである。そのチームエラー1) を,誰かが発見し,エラーであることを指摘し,修正することができればよい。
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