特集 看護技術教育のこれから
第2部 医療事故の実態から看護技術教育の方法を見直す
人はどういう状況で事故を起こすのか―医療事故防止教育のポイント
嶋森 好子
1
,
福留 はるみ
2
1前:日本看護協会
2聖母女子短期大学
pp.967-973
発行日 2001年11月30日
Published Date 2001/11/30
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1663902634
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はじめに
医療事故は,どうしたら防止できるのか.この課題への解決策を,医療に携わる全ての職種の者が,今最も切望しているのではないだろうか.医療事故の内容を知るたびに思う.医療施設等での臨床経験を持つ人なら,同じような事故を体験もしくは未然に防止した経験を持っている人も少なくないだろう.何故,医療事故は繰り返されるのか.事故が発生する背景には,多くの医療現場で共通の要因があることは容易に予測されるが,個別な状況下における要因分析から医療界全体へフィードバックできるような,具体的な事故防止対策に関する知見を得られていないのが現状であろう.特に,ヒューマンエラーや各施設の組織が独自に持つ問題について行うリスクの同定,分析,対応策の策定,その後の評価等,日常業務を遂行しながら当該施設の関係者だけで行うことは,もはや限界の域に達しているのではないか.
このような閉塞感とジレンマを感じるなかで,平成12年度厚生科学特別研究事業で「看護業務に関連する医療事故防止対策に関する研究―看護業務に関連する事故の実態からみた事故防止策の検討」(主任研究者:前日本看護協会常任理事・嶋森好子)の研究を行った.
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