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はじめに
千葉市中央区に位置する千葉大学医学部附属病院(以下,当院)は,千葉県内では唯一の特定機能病院である。病床数は835床,6部門28診療科をもち,外来予約患者数は1日約1800人,平均在院日数は20日,のべ退院患者数は2005(平成17)年2月は958人である。患者は県内各地域のみならず当院で実施される高度な医療を求めて県外からも来院する状況である。
地域医療連携部は2005年3月,医療福祉部と地域連携部が統合され,新たな組織として活動を始めたところである。医療福祉部はもともと退院支援や療養相談を担い,医療連携部は地域の医療機関からの患者紹介を受けその返信を担う窓口であった。地域医療連携部では,紹介患者の受け入れ,いわゆる前方支援と,退院する患者の支援,いわゆる後方支援を一つの窓口で効率的に行なうという目的がある。
これらの統合の背景には,千葉大学が2004(平成16)年4月に国立大学法人となり,大学の各部署がそれぞれの効率的かつ発展的な運営を考え,大学全体で中期目標を掲げそれに向けて邁進するという方針が立てられたことがある。大学全体の動きを受け,当院も地域医療機関との連携を推進する目的で地域医療連携部の統合を中期目標として掲げ,それが大学全体の中期目標の重要点として位置づけられている。このことは,「地域医療機関との連携をなくしては病院の発展はありえない」という,国立大学法人の意志の表われでもあるといえよう。
本稿は「高度医療を受けた高齢者の生活の質保証のための院内・地域連携」がテーマであるが,当院地域医療連携部は発足して間もなく,実績の少ない状況であり,また,生活の質保証のための地域連携という観点からいえば,統合前の医療福祉部での自宅退院に向けた活動を紹介することで,看護管理者の院内および地域関係機関との連携のあり方を浮き彫りにして紹介できるものと考える。そこで本稿では,高度医療を受けた高齢者の生活の質を保証するために,自宅に退院することを支援してきた医療福祉部での活動内容を紹介し,それを元に施設の特徴となる機能を強化しながら,地域で患者・家族および自施設,他施設の利益を最大にするための,看護管理者のケアコーディネートのあり方について述べる。
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