鴨川便り・2
医療の質の保証
牧野 永城
1
1亀田総合病院診療統括
pp.224-225
発行日 1994年2月20日
Published Date 1994/2/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1407901484
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私の鴨川行を決定的にしたのは,亀田病院でクリニカルインディケーターを実施していることだった.私の知る限り日本でこれを実施している病院はここだけである.耳慣れぬ人が多いかもしれぬので,言葉の意味をまず説明しよう.そのためには,まず医療の質という問題から入らないとわからない.短い誌面で難しいことだが,できる限りの説明を試みることにする.
アメリカから帰国して以来30年あまり,「医学教育」と「医療の質」の問題は常に私の関心の的であった.アメリカでこの領域の進んでいることに驚き,それに比べてわが国での悲惨なまでの立ち遅れを否応無く知らされたからである.その後,医学教育の改善にはかなりの進歩が見られるものの,後者の質の評価に関しては,わが国ではつい最近まで欠落していた分野といってよく,幼児の歩きに似た試みがやっと最近始まったばかりなのである,尚,ここで取り上げる医療の質とは,わが国の現行の保険点数の審査制度とはおよそ次元の異なるものであることを断わって置こう.
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