連載 私のこだわり看護管理 パート2 〈看護現場学〉クオリア創造に向けて・2
I章:実践している,できている実感を得るために―事件は現場で起きる
陣田 泰子
1
1聖マリアンナ医科大学病院看護部
pp.144-145
発行日 2005年2月10日
Published Date 2005/2/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1686100117
- 有料閲覧
- 文献概要
医療現場の特徴・看護現場の特徴
<看護は実践の科学,という矛盾>
看護は実践の科学である,とよく言われる。看護実践は,机上の論理(一般論)を踏まえつつ,現場では目の前の患者1人ひとりの異なる状況をとらえて(現象論),いまできる最善の看護を提供する。そう考えると,実は,看護は実践の科学という言葉には矛盾がある。
科学は,個別の違いを捨象して普遍性を考えていくものである。医師が行なう診断とは,診断基準に照らし合わせてその違いを取り除き,合致する点を選択していく過程である。各種検査の結果,臨床症状を診るのは,あくまでも基準に照らして判断するための作業である。一方,看護実践は,さまざまな生活歴を持った個別な患者の1人ひとりに対応すべく,看護の原則論を頭に置きつつも,最終的には限られた資源の中でより健康的な方向へ向かう,個別なニーズに対応する実践の過程である。
Copyright © 2005, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.