新連載 機能する看護部組織を創る対人関係技法・1
組織における人間的側面の機能を構築する
池田 優子
1
1高崎健康福祉大学短期大学部看護学科
pp.32-36
発行日 2005年1月10日
Published Date 2005/1/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1686100101
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看護教育の場から久しぶりに臨床現場に戻ったときに感じたことは,非常に速いスピードで医療の質が変化,あるいは変化せざるを得ない状況が生じているということでした。かつては「患者さんのためにいい医療を提供したい,いい看護を提供したい」ということだけ考え,それが大義名分として十分機能していました。しかし,低経済成長下で,しかも国民医療費が膨張し続け,「いい医療を効率的にしかも安いコストで提供すること」が病院内で至上命令になってきているなかで,コストパフォーマンスを考えた看護の提供が不可欠となってきています。
さらに,医療が完全無欠ではなく,ミスを犯すことがあるという事実が日々明らかにされ,患者側の医療不信が顕在化してきています。そして,「在院日数の短縮化で追い出されるのではないか」「この病院はほんとうに安心して療養できるところなのか」と不安を抱きながら入院してくる患者さんたちと日々対峙し看護を提供する看護師たちにとって,現場はかなりストレスフルな場として認知されてきています。現場の看護師の抱えている大変さは,一言でいうならば,時代が求める医療や看護に対して現実が追いついていないところからきているといえるのではないでしょうか。
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