連載 組織論からみた看護管理・11
看護管理における構造的側面
前田 マスヨ
1,2
1前東海大学医学部附属病院看護部
2前東海大学医療技術短期大学
pp.367-373
発行日 1994年9月15日
Published Date 1994/9/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1686900275
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はじめに
ここ数年の間に施行された第1次(1987=昭和62年),第2次(1992=平成4年)医療法の改正および看護婦等の人材確保の促進に関する法律(1992=平成4年,法律86)の制定は,社会の変化,人口構造の変化,社会の変革に対応するものであり,社会制度的側面の変容の一端である.看護管理は,絶えることのない学問と技術の進歩の影響を受ける.従って,その多くの活動内容は,自動化によって効率が高められていくことと隣り合わせで,過剰労働の場合が決して少なくない.
近年は保健医療の領域に第3次産業といわれる分野の介入が著しく増加し,とどまるところを知らない状況であるが,この第3次産業では産業構造が変化していると指摘されている.それは産業部門の生産性が悪く,価格が高いとされている.筆者は長い間の看護管理のテーマとして,看護における"生産性と人間性"を核にして歩き続けてきた.再起不能とさえ思われた第2次世界大戦直後のわが国の焦土の中で,世界のトップレベルとなった第2次産業が培われてきた生産行動の推移を目の当たりにみてきた.しかし,物を作るところに設備を導入し作業効率のメリットエンジニアリングを移入して生産性を上げていくという技法を持ってきても,医療の現場では,必ずしも好結果は生じないことは従来もこれからも変わらないと言われ続けている.
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