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はじめに
近年の保健医療を取り巻く環境が大きく変化する中,看護職員(保健師,助産師,看護師及び准看護師をいう。以下同じ。)の業務にも様々な変化が生じている。例えば,目覚ましい医療技術の進歩への対応,医療安全の確保,インフォームド・コンセントへの国民の期待等,山積する多くの課題があり,これらに適切に対応していくためには,看護職員の臨床実践能力の向上を図ることが必須である。特に新人看護職員に対しては,学生時代と大きく異なる環境の中で安全に看護業務を遂行できるようにするために,臨床実践能力を向上させる組織的,体系的な取組が必要である。
これまでも,旧厚生省において「看護職員生涯教育検討会報告書」(平成4年)が取りまとめられ,卒業直後から概ね3年間の「看護実務研修」について言及されている。しかし,新人看護職員の研修についての明確な記述はなく,現実にも新人看護職員研修について国としての取組は十分ではなかった。
このような現況を踏まえ,当検討会は,厚生労働省医政局長の依頼を受けて設置され,医療安全の確保及び臨床看護実践の質の向上の観点から,新人看護職員の卒後1年間の看護実践の到達目標及び目標達成に向けた研修体制構築のための指針について,平成15年9月25日の第1回開催以後,全4回にわたって議論を重ねてきた。
新人看護職員研修到達目標(以下「到達目標」という。)及び新人看護職員研修指導指針(以下「指導指針」という。)の作成に当たっては,検討会の下に看護管理者及び教育・研究者から成るワーキンググループを設置して,たたき台を作成した。さらに,検討会において,医療安全,看護管理に関する専門家の意見,新人看護職員の指導者,新人看護職員等の関係者からのヒアリングを踏まえ,議論を深め,起草委員によって報告書の文言の整理等に取り組むなど,新人看護職員研修の在り方について精力的に検討してきたところである。
今般,当検討会としてこれまでの議論を整理し,本報告書を取りまとめたので,これを公表する。
なお,報告書は,第一部において新人看護職員をめぐる現状と課題について述べ,第二部において新人看護職員が卒後の1年間で備えるべき看護技術等を示した到達目標,新人看護職員の指導に必要な要件・指導方法等を示した指導指針を提示した。
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