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はじめに
近年,少子高齢化の急速な進展により,2015年までに生産人口年齢は約840万人減少し,これに伴って労働力人口も,若年層および壮年層の大幅な減少により約90万人減少する見通しとなっている。高齢化に伴い,高齢者がより重要な労働力になることが予測されるが,わが国の場合,男性60歳前半の労働力率は約71%,女性は約39%となっており1),高齢者の労働意欲は高いとみられている。これに対し厚生労働省職業安定部会は,高齢者が意欲と能力がある限り,年齢に関わりなく働き続けることのできる社会の実現を図ることが必要との考えを示し2),それに伴って2004(平成16)年6月11日,高齢者等の雇用の安定等に関する法律が改正された。こうしたなか,豊かな人生経験と看護職者としての経験で培われた看護の「技」をもつ人が,定年後もその能力を社会に還元し貢献していくことは,就業者の確保対策としてのみならず,看護職員自身の生きがいという観点からも重要なことといえるだろう。では現在の就労システムは,「年齢に関わりなく働き続けることのできる社会」にふさわしいものとなっているのだろうか。また課題は何か。さらに,看護職のクリエイティブなセカンドキャリアプランはどのようにすれば構築できるのだろうか。
本稿では,豊かな人生経験と看護職員としての経験で培われた看護の「技」をもつ保健師・助産師・看護師・准看護師などの看護職者を「セカンドキャリア看護職者」(以下,セカンドキャリア)と呼称することとし,前回論述した「クリエイティブなセカンドキャリアプラン」のための条件整備を検討することを目的に掲げ,実質的な供給サイドとなる求人施設を対象に,セカンドキャリアがおかれている雇用状況やセカンドキャリアに対する採用ニーズ,そして今後の雇用動向を調査することにした3)。
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