特集 看護教育50年の評価
少子高齢社会に向かう看護教育のあり方を問う
川島 みどり
1
1健和会臨床看護学研究所
pp.651-655
発行日 1995年8月25日
Published Date 1995/8/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1663903693
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はじめに
超高齢社会の到来は,少子化を背景に一層深刻な社会的・経済的な問題を浮き彫りにしている.看護に関してもさまざまな影響が予測される.たとえば,子供数の少ないことが少人数家族を生み,家庭内介護力を弱めるもとになる.そのことはまた,社会的機能としての看護・介護への期待を強める結果ともなって,より質の高い看護を提供する方策が求められる.このため,看護教育の大学化のテンポも急速ではあるが,若い子女たちの進路決定に際しては,選択肢の多様なことから,看護への志望状況に響くことは容易に予想できることである.
そこで,戦後50年の看護教育の大まかな足どりをふまえながら,これからの看護教育のありようへの私見を述べてみたい.この50年の看護教育の変化は,その時々の担当者の努力によって改善されてきた.しかし,そのことは認めるにしても,「臨床現場の看護レベル」という評価の指標から見ると,果たして制度やカリキュラムの改変が成功したのかどうか,疑問も多い.本稿では主として問題点に焦点をしぼりながら,将来を展望したい.
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