連載 おとなが読む絵本――ケアする人,ケアされる人のために・11
抱きしめることが心の発達を支える―『だきしめてほしくって』『いそがしいっていわないで』
柳田 邦男
1
1作家
pp.396-397
発行日 2006年5月10日
Published Date 2006/5/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1686100078
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《だきしめる》という,母の子に対するスキンシップが,今日ほど大切な時代はない。
そのことを私に気づかせてくれたのは,慶応義塾大学医学部小児科講師の渡辺久子先生だ。もう10年ほど前のことになる。小児科領域のある研究会で,渡辺先生の講演を聴いたのが,お会いした最初だった。その時は,子どもの死によって受ける親のトラウマがテーマだったが,母子精神保健を専門にしている渡辺先生の発表に,私は感銘を受けたので,それからしばらくして,渡辺先生が取り組んでいる問題について取材させていただいた。後に渡辺久子・橋本洋子編『別冊[発達]24 乳幼児精神保健の新しい風 子どもと親の心を支える臨床の最前線』(ミネルヴァ書房)として本格的に提示されることになるアタッチメント(愛着)理論とその臨床について説明を聞いたのだ。
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