連載 スクラブ・ナース 1年生・12
ニューヨークの入院患者―時間待ち辛抱編
鈴木 美穂
pp.395
発行日 2006年5月10日
Published Date 2006/5/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1686100077
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- 文献概要
ニューヨークの入院患者は時間に寛容だ。待たされることを苦にしない。日本では,ナースコールに速やかに応答することは当然のことである。しかしながら,ニューヨークでは5分ほどナースコールが鳴りっぱなしで,ほったらかされているなんてことは日常茶飯事である。私もニューヨークで働き始めたばかりの頃は,ナースコールがあると病室まで飛んで行ったものだが,「ずいぶん早かったね」とか「急ぎではないのだけど」と前置きされることがほとんどだったので,今ではすっかり自分のペースを優先させるようになってしまった。ニューヨークの患者は,それを見越して,かなりの余裕をもってナースコールを押すようだ。彼らの期待よりも早く対応できればもちろん感謝されるが,そのとき手掛けている仕事の手を止めてまで駆けつけるほどの緊急性のあるコールはこれまで一度もなく,切りのよいところまで片付けてから次の患者に応対するほうが,安全性の点からもいいのではと思うようになった。
日本では,「点滴が終わりました」というコールがよくあった。正直言って,これは不要なコールであるが,すぐに対応しないと患者は不安になる。看護師はだいたいどのくらいで点滴が終わるかを考えながら仕事をしており,点滴が終わってからラインが詰まってしまうほどラウンドをしないということはまずない。ニューヨークの患者は点滴が終わってもすぐにはナースコールを押さない。これはありがたい。
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