映画の時間
—収容所から生還した妻と,変貌した妻に気づかない夫.再会が2人の心の痛手を炙り出す.—あの日のように抱きしめて
桜山 豊夫
pp.645
発行日 2015年9月15日
Published Date 2015/9/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1401208264
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第二次世界大戦の終結から70年を迎え,わが国でも「日本のいちばん長い日」(原田眞人監督)など,戦争をテーマにした映画が公開されていますが,同じ敗戦国ドイツで製作された興味深い作品「あの日のように抱きしめて」をご紹介します.
1945年5月,日本の敗戦に先立ってドイツは連合国に降伏します.その直後のことでしょう,ユダヤ人強制収容所から開放された主人公ネリーと,彼女を保護したユダヤ機関の弁護士レネが,車でドイツへ帰国するところから映画は始まります.連合国による検問.拷問のせいか,顔面を著しく損傷された主人公を確認しようとする連合国兵士.戦争が終結したとはいえ,まだ混乱のなかにある状況を瞬時に理解させる,巧みな演出です.
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