特集 医療安全トレーニングをどう進めるか
KYTの実際と今後の課題
医療安全に資するトレーニングの今後
安井 はるみ
1
1社団法人神奈川県看護協会医療安全対策課
pp.214-217
発行日 2006年3月10日
Published Date 2006/3/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1686100038
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医療安全トレーニングの現状
2006(平成18)年1月18日,厚生労働省中央社会保険医療協議会(中医協)から出された平成18年度診療報酬改定骨子案では,医療安全管理体制に係る入院基本料の減算事項が廃止され,2年という月日を経て新たに加算項目が創設された。このなかで,ようやく医療安全対策が医業収入を上げる「収入=足し算」の分類に入った。これはいまだ序章であって,遅きに失する感は否めないが,そのなかには「医療安全対策に係る専門の教育を受けた看護師,薬剤師等」を設置することで診療報酬上,加算される見込みとなる。
この「専門の教育」の具体的な解釈までは言及されていないが,医療安全は質,管理,倫理,医療やヒューマンファクターに関する知識など,さまざまな学際的な知見を駆使して,人や組織を動かす知識・技術・態度が必要とされる。さらに,他施設や部署の実践から得た知を共有し,自施設のなかで有効に展開できるような技術を向上させるよう日々継続し,PDCAを回しているのが現状である。つまり,医療安全に関する取り組みは,組織のなかで常に成長し続けるもの(持続的イノベーション)であり,かつ,組織全体に関連することであるため,組織に従事する者の全員参加が基本となるため,トレーニングも職種や部門を超えたチームトレーニングに取り組む必要がある。
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