特集 医療安全トレーニングをどう進めるか
KYTの実際と今後の課題
中堅看護師に求められる危険感受性―事故のない安全な現場をどうつくるか 【実践から学ぶ・3】
戸田 由美子
1
1特定医療法人社団三思会 東名厚木病院・医療安全管理室
pp.207-213
発行日 2006年3月10日
Published Date 2006/3/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1686100037
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はじめに
当院では2003(平成15)年7月より,「患者が安心して安全な医療を受けられるよう環境を整え,提供する医療の質を向上する」ことを目的として医療安全管理室が開設された。医療安全管理室は全部署に,組織横断的に関わる部門である。
医療安全管理室に報告されるヒヤリハット・アクシデントレポート件数は,院内の職員のなかでも看護職員からの提出が最も多く,医療安全管理室開設当初は,医療安全に関する教育は主に新人看護師に焦点をあて,危険予知を取り入れた研修を実施していた。しかし,2004(平成16)年度のアクシデント報告件数は,新人21%に対して,3年目以上の中堅看護師の割合が62%という実態であった。後述する事例などからも,新人看護師の行動だけに着目するのではなく,経験者の安全行動こそが,現場の事故を防ぐ鍵となることに気がついた。そしてこれらの現状をふまえて,看護業務の中心的な実践者であり臨床実習指導者でもある中堅看護師に対して医療安全に対する認識を高め,「安全な医療現場」をつくることが,重要な課題であると考えた。
そこで本稿では,2005(平成17)年度より,原則的には経験3年以上の各部署で中核となる看護師の危険感受性を高めることを目的に取り組んできたKYT(Kiken Yochi Training)の研修内容を紹介する。
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