連載 今月のニュース診断
働くことの価値―経済活性に資する雇用システムとは
田倉 智之
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1アイビーエムビジネスコンサルティングサービス(株)ヘルスケア戦略サービス
pp.410-411
発行日 2006年5月1日
Published Date 2006/5/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1665100104
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出生率は平等から
合計特殊出生率(1人の女性が一生に産む子どもの数)の1.29について,政府機関の施策やマスコミの論説などが巷を賑わしている。筆者も以前本誌面で解説を行なっていたが,“出生率は「平等」から”(朝日新聞,2006年03月19日朝刊)によると,フランスなどの先進国では,育児の男女平等,雇用の男女平等の推進により出生率のアップに成功しているそうである。そこで,雇用システムの在り方を出生率の向上の点から,さらに経済的な側面からも論じてみたい。
雇用システムが変わる
労働法制の規制緩和などにより,雇用契約の形態と女性の就業環境を中心に,雇用システムが変わりつつある。景気が上向きつつあり,企業の利益が過去最高を更新しているのに対して,勤労者世帯の可処分所得は減少しており,その背景として正社員は減り続けているそうである(総務省・日本銀行・厚生労働省・財務省調べ)。また,雇用労働者の約4割が女性であるなか賃金は男性の67.6%(2004年:厚生労働省「賃金構造基本統計調査」より),コース別雇用管理制度を導入している企業の半数以上は「総合職はほとんどが男性」という偏りがまだあるものの,“男女雇用機会均等法20年”(毎日新聞,2006年3月14日朝刊)によると,女性の就業環境全体は一昔前に比べて良くなってきているそうである。
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