特集 医療安全トレーニングをどう進めるか
KYTの実際と今後の課題
新人看護師のための医療安全教育―危険予知感性を高める試み 【実践から学ぶ・2】
平野 佳穂
1
1東芝林間病院看護部
pp.201-206
発行日 2006年3月10日
Published Date 2006/3/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1686100036
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はじめに
2004(平成16)年3月10日に,厚生労働省から「新人看護職員の臨床実践能力の向上に関する検討会報告書」が公表された。そのなかで,「第一部 新人職員をめぐる現状と課題」の「I.臨床現場の現状と課題」において,医療技術の進歩,患者の高齢化・重症化,平均在院日数の短縮化等の中で,看護職員の役割の複雑多様化,業務密度の高まり,多重課題への対応能力養成の必要性,看護職員の社会責任の拡大,ヒヤリ・ハット事例での新人看護職員の占める割合の高さが指摘されることが記され,「看護の質を確保,向上させ,医療安全を確保するために,新人看護職員研修の充実の必要性は非常に高い」と示されている1)。
当院の新人看護師採用人数は毎年6~10名である。2004年度までの新人看護師研修の医療安全教育は導入研修で2時間,3か月フォロー研修で1時間,計3時間を設けていた。しかし,新人看護師のインシデント・アクシデントレポート記載比率は2003(平成15)年度で26%,2004年度は29%を占めた(図1)。現状の教育方法では,厚生労働省の報告どおり,業務の重複に弱いという結果に思われた。
そこで2005(平成17)年度から,入職時導入研修で,危険を予測する感性を身につけることを目的とした医療安全教育を実施することで,重複業務など課題が難しい業務環境のなかでも医療安全行動がとれる新人看護師を育成できると考え実施したので報告する。
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