特別記事 脳科学からみた看護
脳生理学的視点からみた熟練看護師の能力
渡辺 かづみ
1
1福島県立医科大学看護学部
pp.255-260
発行日 2002年6月15日
Published Date 2002/6/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1681900677
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
はじめに
21世紀は脳の時代だといわれている。1838年にプルキンエが小脳のプルキンエ細胞を顕微鏡で発見して以来,脳についての研究が取り組まれてきたが,近年脳に関連する知見はめざましく進歩している。書店の店頭には数多くの脳に関する書籍が並び,テレビでも脳関連の番組がよく放映されている。このように脳に関する研究が急速に進んだ背景には,CT,ポジトロン断層法(positron emission tomography:PET),機能的磁気共鳴画像法(functional Magnetic Resonance Imaging;fMRI),脳磁図(magnetoencephalogram;MEG)といった機器の登場や,神経細胞(以下,ニューロンという)の分子レベルの解明が進んだことによるところが大きい。
一方看護師は,看護基礎教育だけではなく,臨床に出てからも経験を通して多くのことを学び,新たな知識や技能を個人のなかに蓄積していく。看護が実践学問であるがゆえのことであるが,臨床において知識や技能を獲得しエキスパートになることは,脳生理学の視点からみるとどのようなことなのか,検討を試みた。
Copyright © 2002, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.