焦点 看護研究方法としての疫学的研究方法—疫学調査からEBNへ
[対談]3編の論文をクリティークする—バイアスにどう対処するかを中心に
中野 正孝
1
,
野尻 雅美
2
1三重大学医学部看護学科
2千葉大学看護学部
pp.69-76
発行日 2001年2月15日
Published Date 2001/2/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1681900595
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看護における疫学的研究の特徴
中野:本号の焦点で掲載する疫学的研究方法を用いた3編の論文(35-49頁の櫻庭論文,51-57頁の齋藤論文,59-68頁の野尻論文)について,エビデンスたりうる研究成果を得る上で最も注意が必要なバイアスの問題を中心に点検することを通じて,看護研究における疫学的研究方法について具体的に考えてみたいと思います。まず,疫学に関する教科書執筆,学位論文指導の経験豊富な野尻先生に,これまでの看護研究における疫学研究についてお話いただきたいと思います。
野尻:私は1979年に千葉大学看護学部に着任して以来,主に疫学を担当してきました。疫学は医学の一分野として学びましたが,看護学部に来てからは看護学に応用しようと取り組みました。その中で,疫学とは集団的科学的な研究方法論であると気がつきました。そうしますと,看護学への応用もしやすく,20年問で約30人ほど疫学的方法を用いた修士論文指導をしてきました。当初は記述疫学的な研究が中心でした。その後,関連を求めた分析疫学的な研究が多くなり,解析方法も単変量解析から多変量解析に移っております。その背景には統計ソフトが入手しやすくなったことが大きいと思っています。最近は数量化理論から重回帰分析,ロジスティック回帰分析が多く用いられています。
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