とびら
治療者・援助者の落とし穴
蜂矢 英彦
1
1東京都立中部総合精神衛生センター
pp.505
発行日 1986年8月15日
Published Date 1986/8/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1518103601
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6月5日(木)の夜,劇団四季の芝居「エクウス」を観た.エクウスとは馬のこと.この芝居の主役は,週末に働いていた厩舎で,6頭の馬の目を刺すという奇妙な犯罪をおかした17歳の少年と,この少年の治療を家庭裁判所から押し付けられて悩みを抱えることになった精神科医の2人.病気の治療をめぐって,この2人が終始激しいやりとりをするというユニークな芝居である.
「理学療法と作業療法」という専門職のための学術誌に,冒頭から芝居の話とは何とも恐縮だが,どちらがどちらを追い詰めているのか分からないくらい緊迫した場面の連続するこの芝居が,観客に投げかけた数々の課題に,精神科医として大いに揺さぶられ,読者諸賢と一緒に考えてみたくなったのである.
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