焦点 災害看護学の構築に向けて・Ⅱ
防災と看護—病院の看護部門における危機管理
新道 幸恵
1
1青森県立保健大学
pp.207-216
発行日 1999年6月15日
Published Date 1999/6/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1681900504
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はじめに
阪神・淡路大震災から4年半の月日が流れてしまった今日,被災地では既に平常性が戻り,表面は何もなかったかのような装いである。しかし,あの大震災を体験し,その後の復旧に関与し,復興の様を見続けた者には,新しいビルディングからもあの大震災の大きな被災の跡が思い出される。その一方,被災した街が新しく生まれ変わっていくさまに復興のエネルギーが感じられて,安堵感と明日への希望も湧く。
「災害看護学」の確立は,あの震災を体験した者の義務であり,責任であるとの思いからかかわっている。阪神・淡路大震災時では,全く予想もしなかった出来事で,何の備えも,心の構えもなく遭遇し,まさに,「ただひたすら襲いかかる火の粉を夢中で払いのける」に等しい対応でしかなかったことを,震災後のこれまでの年月における振り返りの中で気づいてきた。
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