焦点 災害看護学の構築に向けて・Ⅱ
被災者の生活立て直しへの援助—仮設住宅における看護活動の実績指標開発
井伊 久美子
1
1兵庫県立看護大学
pp.187-195
発行日 1999年6月15日
Published Date 1999/6/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1681900502
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研究の背景
阪神・淡路大震災後,避難所の生活を経て仮設住宅への本格的な入居が始まったのは1995(平成7)年5月からである。筆者らは約1年間の自治会支援,月1回の健康相談会の実施を通して,被災後1年を経過して仮設住宅での生活自体は落ち着いてきたという住民の声も耳にしていた。しかし同時に転出移動が進む一方で,見通しのもてないことへの不安が表出されてきていたことも事実である。仮設住宅住民においては,仮住まいの特殊な環境にあっても住民同士支えあう努力もされていた。しかし自助努力にも限界があった。こうした中で「残っていく」人々の健康問題はより深刻化することが考えられ,今後個別的な対応が求められると考えた。
我々看護職としては,避難所の看護活動から引き続き仮設住宅の住民にもかかわってきたが,住民が訴えてくるのを待っているだけでは決して充分でないことを実感していた。また,現状からは「支えられている」安心を保障することと,次第に変化するニーズに対応することが必要で,継続したかかわりこそ意味のある支援になると考えていた。そして実際には,行政対応としての保健婦等のマンパワーでは,継続した個別の対応には限界があると判断していた。
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