焦点 看護におけるQOLの研究[1]
原著論文
精神障害者の社会適応モデル—生活の満足と自己価値に関するパス解析(第1部)
羽山 由美子
1
1東京医科歯科大学医学部保健衛生学科看護学
pp.139-152
発行日 1992年4月15日
Published Date 1992/4/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1681900074
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序 論
1.背景
1950年に制定された精神衛生法が,法のねらいも名称も一新し,精神保健法として施行されてからかれこれ4年が経つ。旧法は1965年に大幅な改正がされて以来,若干の変更はあったものの本格的な見直しはここ20年余り全くなされてこなかった1)。当時の改訂は,措置入院の強化と2),保健所を退院者のアフターケアの第一線機関として位置づけるという,相矛盾した性格をはらんでいた。入院患者の人権保障を第一に,社会復帰促進のための地域資源整備を法文に取り入れた1988年の新法は,実行上の諸問題はあるにしても,法のねらいとしては画期的なものであった。それほどまでに,精神障害者の人権や生活の質(クオリティ・オブ・ライフ)は,これまで等閑視されている。
我が国の精神疾患による在院患者数は34万9千人3),昭和58年度精神衛生実態調査の結果によればその1/3は条件さえ整えば退院可能な患者群である4)。精神分裂病による入院は総入院患者の61%を占め,この割合は数年来変わらない3)。昨今の特徴は,若年層(20-24歳)の入院患者の減少と45歳以上の患者層が増加し,全般的に高齢化が見られることである5)。
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