焦点 看護におけるQOLの研究[1]
研究
悪性腫瘍で病名を告知されずに化学療法を受けている患者と密接にかかわる家族のストレス・コーピング
中村 めぐみ
1
1聖路加国際病院
pp.129-137
発行日 1992年4月15日
Published Date 1992/4/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1681900073
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序 論
1.研究の背景
近年,悪性腫瘍は日本における死因の第1位を占めるようになり,特に働き盛りの年齢層から高年齢層においてその割合が高い1)。その一方では悪性腫瘍に対する治療法の開発と応用が進み,手術が不可能な血液あるいは進行性の癌に対しても化学療法が施行され,延命への期待が寄せられつつある2,3)。
しかし化学療法は厳しい副作用を伴ったり,繰り返し使用しなければならないことが多く,患者にとっては大変ストレスフルで,家族を含め生活全体に影響を及ぼすことが少なくない。特に患者本人が真の病名を告げられていない場合,家族は事実を隠すための努力を続けなければならず,時によっては患者以上に心理的ストレスの増強を体験していることが予測される。しかもそのようなストレス状況の中で,患者が治療の意義を受け入れ治療を継続していく上では,大きな役割が家族に期待されていると考えられる。
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