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臨床家にとってのEBP
EBP(evidenced-based practice)は,看護職の責務である。2021年3月に日本看護協会が公表した「看護職の倫理綱領」においても,看護職は常に科学的知見や指針を用いて看護を実践するとともに,新たな専門的知識・技術の開発に最善を尽くすことが求められている(公益社団法人日本看護協会,2021)。国際看護師協会(ICN)は,看護師は「エビデンスに基づく意思決定と実践を生み出す環境の整備に努力すべきであるが,これを達成するためには,研究を行うチームが,その成果を利用するチーム(広くコミュニティを含む)と密接に協力する必要がある」と述べている(国際看護師協会/公益社団法人日本看護協会訳,2012)。エビデンスがあまねく普及し,実装されることは,世界における健康格差の縮小にも寄与する。
看護におけるEBPの実装については,欧米で先駆的かつ組織的に進められてきたが,IOWA(アイオワ)モデルに基づくEBP実装のためのガイドブックの翻訳本の出版(アイオワ大学病院看護研究・EBP・質改善部門編,松岡,深堀,酒井監訳,2018),慶應義塾大学病院でのEBP活動など(慶應義塾大学病院看護部ホームページ:http://kango.hosp.keio.ac.jp/feature/ebp/),日本においても活発化している。Dissemination and Implementation Science(普及と実装科学)を,「様々な研究デザイン,方法論を用い,患者,保健医療従事者,組織,地域などのステークホルダーと協働しながら,エビデンスのある介入法を,効果的,効率的に日常の保健医療活動に取り入れる方法を開発,検証する学問領域」と定義し(D&I科学研究会ホームページ:https://www.radish-japan.org/),その普及と実装をめざした活動も行なわれている。
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