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書評 「家に帰りたい」「家で最期まで」をかなえる―看護の意味をさがして
山田 雅子
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1聖路加国際大学大学院看護学研究科
pp.331
発行日 2019年4月25日
Published Date 2019/4/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1663201223
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本当の看護とは何かを知りたい人に読んでほしい
魂の看護に出会えました。でも、看護師の物語ではありません。看護するとは看護師だけの仕事ではなく、普通の人が普通の生活のなかで、大事な人を思いやり行動することすべてが看護することなんだなあと思い返しました。書き手である看護師の藤田愛さんも、たくさん看護されている姿が手に取るようにわかります。
「看護師のコミュニケーション力が落ちている」と言われて久しいです。患者経験をした人は、「看護師は一歩踏み込む対話ができない」と言いますが、藤田さんの対話力は凄まじく素晴らしい。うまい具合に踏み込んで、気持ちよいほどに患者や家族、ときには医師の心をつかみます。それは耳でキャッチして頭で理解するのでは到底なく、全身で感じるのでしょうね。推察とも違って、たとえ言葉による表現がなくても、看護師藤田さんの五感から得られた情報からのアセスメントに第六感が加わって確信につながるのです。全身全霊をもって看護するとは、こういうことだということが表現されています。「何かあったら呼んでください」と形式化されたセリフしか言わない看護師とはまったく違うことが、誰が見てもわかります。
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