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本調査の背景
混合研究法(Mixed Methods Research,以下MMR)の国際的な普及は,関連学会の形成などもみられ,着実に進んでいるといえる。わが国の状況としては,日本混合研究法学会(Japan Society for Mixed Methods Research,以下JSMMR)において医療・看護系分野を専門とする会員の占める割合が高く,詳細は本特集の抱井論文(94-100)に委ねるが,国内における看護分野におけるMMRの活用のニーズは高いといえる。同じく本特集の髙木・阿部論文(102-108)からもわかるように,看護や健康科学において多くのMMRによる研究論文が出版されており,こうした点は国際的な動向と連動するものとして理解すべきであろう。つまり,国際的な看護研究の動向としてMMRが多用され,国内でもその有用性の認識がさらに高まっていると考えられる。
国内の看護分野でのMMR活用の推進のためには,まず学修ニーズに対応する必要があり,2020年度から5年間にわたり,看護学に特化した学修ニーズに応じるためのe-learningプラットフォームの戦略的な構築をめざして,抱井尚子教授を研究代表者としてJSMMR理事を中心に構成される研究班が立ち上がった。当該研究の大きな傘の下,国際的動向を捉えておくことが有用であることから,MMRの教育方法の理論的側面として,先行研究のレビューを行なった。一方,諸外国における具体的な教育実践に関する情報は,わが国における現場での学習効果を最大限に引き上げようとする提供者(教員)の試みに反映できる可能性が高く,演繹的だけではなく,帰納的アプローチで教育方法を設計することが可能となる。本稿では,後者の具体的な教育実践の情報収集を試みたので,その調査結果について紹介する。
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