特集 看護における混合研究法の進展
混合研究法の教育および学習に関する先行研究の概観—包括的な文献レビューに基づいて
髙木 亜希子
1
,
阿部 路子
2
1青山学院大学教育人間科学部
2青山学院大学
pp.102-108
発行日 2021年4月15日
Published Date 2021/4/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1681201855
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はじめに
混合研究法は,研究対象をより全体的・複眼的に捉えることを支援することから,近年,第3の研究アプローチとして注目されており,日本においても,看護学,医学などの保健医療分野に加えて,教育学,心理学など多岐にわたる学問分野で高い関心が寄せられている。
欧米では,英語の混合研究法に関する書籍は多数出版され,量的研究法・質的研究法に加えて,混合研究法の授業科目を開設する大学院が増えてきており,学びの機会が担保されている。しかしながら,その教育のあり方に関する論文の刊行は少なく,専門家の間でも意見が分かれており,確立された方法があるわけではない(Ivankova, & Plano Clark, 2018 ; Mertens et al., 2016a)。
一方,日本においては,日本語で出版された混合研究法の書籍や混合研究法の授業が開講されている大学院は少なく,十分な混合研究法教育が行なわれているとはいえない。したがって,経験の少ない日本の研究者が,混合型研究を計画・実施する際に,疑問や不安を抱く可能性は高く,現在有している知識やスキル,および研究に向かう態度では解決が困難な課題に直面すると考えられる。本稿では,上記の課題の解決を目的とする研究プロジェクト註の一環として,国際的な混合研究法の教育および学習の方法に関する現状と課題を明らかにし,日本における混合研究法教育への示唆を得るために行なわれた領域横断的な文献レビュー(髙木,阿部,河村,抱井,2021)の概要を紹介する。
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