特集 COVID-19は研究にどのような影響をもたらしているか
COVID-19が突きつけた問い—災いを転じられるか
坂下 玲子
1
1兵庫県立大学大学院看護学研究科
pp.395-399
発行日 2020年8月15日
Published Date 2020/8/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1681201798
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
- 参考文献
COVID-19禍の状況
人から人へと伝播する感染症は,人と人の接触頻度が高いところで広がる。大阪を中心とした関西圏は,首都圏の次に感染者が多かった。
記憶をたどると,昨年末に中国でこの感染症が報じられたときは,私はSARSのように大陸内で終息するのではないかと,最初はあまり深刻に考えてはいなかった。しかし1月末,水際で食い止めることができなかったことが判明し,事態は深刻であることがわかった。当時学部長であった私の頭に真っ先に浮かんだのは,入試の面接のことであった。また,大学全体としても卒業式のことが話題にのぼった。統計学の教員が感染者数を試算すると,6月がピークとなった。本部の会議で私は,卒業式の開催は言うに及ばず,早急に遠隔講義の準備を進めるべきだと主張したが,周囲の反応はそんな大げさな,という感じであった。そうこうするうちに,残念ながら予測はだんだん現実のものとなっていった。それでも2月,3月は春休みにあたり授業はなく,入試方法の一部変更や卒業式の中止などイベント対策で切り抜けることができた。課題は4月からの体制であった。
Copyright © 2020, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.