特集 COVID-19は研究にどのような影響をもたらしているか
極限的な状況で再認識した研究活動の重要性
山川 みやえ
1,2
1大阪大学大学院医学系研究科保健学専攻
2公益財団法人浅香山病院臨床研究
pp.390-394
発行日 2020年8月15日
Published Date 2020/8/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1681201797
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当研究室(大阪大学大学院医学系研究科保健学専攻看護実践開発科学講座老年看護学研究室)は,大学院生と教員の関係が少し変わっているかもしれない。教え—教えられるという関係ではないのである。教員である私は,学生を「一緒にプロジェクトを進めていく共同研究者」としてみている。私は面白いことや未知のことを学際チームで開拓していくことが好きで,実際に共同研究者は,ロボット工学,医学,哲学,物理学,心理学,音響学,都市工学,建築学といった多領域にわたる人たちであり,看護系の共同研究者のほとんどは現場の人たちである。チーム内での看護の有用性を日々実感しており,学生ともそんなテーマでとりとめなくディスカッションすることが好きである。そのため,学生とは雑談も多く,その中からいろいろなヒントをもらう。私にとって大学院生は,学部学生のレポートも積極的に,興味をもって添削してくれる頼もしい同志のような存在である。ゼミでも研究の進捗の発表から脱線することがしばしばで,常に倫理的な問題等を共有している。
それが,このたびのCOVID-19の感染拡大下で少なからず影響を受けた。本稿では,私自身の研究活動と大学院生のゼミの形の変化や,そのことによる学生への影響について述べた上で,変化があったとしても研究活動を続けるための秘訣を読者と共有したい。
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