特集1 心が折れない看護研究
「問い」の力は連鎖する
田中 美恵子
1
1東京女子医科大学看護学部
pp.34-37
発行日 2013年1月15日
Published Date 2013/1/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1689101130
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★恥の上塗り&プチ外傷体験
思えば、私が最初に、まさに“させられ体験”としておこなった研究は、「慢性期女子閉鎖病棟における肥満解消プログラム」といったようなタイトルの病棟研究であった。とにかく、病棟研究の順番が、我が病棟にもついに回ってきて、なんだかわからないが、“研究”とかいうものをしなくてはならない羽目になった。メンバーは、私が敬愛し憧れ、常に自分の実践のモデルとしていたバリバリの中堅看護師と、病棟のお母さん的なベテラン看護師、私より少し先輩の物静かだが一本筋の通ったカッコいい若手ナースに、もっとも新米の私、といった確か4人。朝のカンファレンスで突然、この病棟研究の担当に指名されてしまったのである。カンファレンスの場で、「あー、私に当たらなければいいんだけど」と、悪い予感をかかえながらドキドキして身を小さくしていたことを思い出す。しかし、悪い予感というのはたいてい当たるものと相場が決まっているらしく、やっぱり、私は“抜擢”されたのであった。
それまで“研究”というものを正式に学んだことがある人は、この4人の中には自慢ではないが1人もいなかった。ただみんな、真面目さと熱意があることだけは確かだった(それで抜擢されたらしい)。そこで、とにかく“研究”をせねばならぬという至上命令に従い、日勤が終わったあとにみんなで集まり、「あーでもない、こーでもない」と終わりのない議論を続け、どうにかこうにか“研究”らしき形にまで漕ぎ着けた。さらにまたまた悪い予感が的中し、私が日精看の大会で発表することになってしまった。
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