特集 実践と結びついた看護理論をつくる—状況特定理論をヒントに
2.実践の現象を捉えるために—「できごとリフレクション」から考える
2-2 現象を捉える「できごとリフレクション」の実際
中西 永子
1
,
小野 博史
1
1兵庫県立大学看護学部
pp.467-473
発行日 2019年10月15日
Published Date 2019/10/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1681201680
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はじめに
臨床の看護師が引っかかっていることは,もちろん実践の現象の中にある。だが,現象の本質はカメレオンのようにジャングルの中に潜んでいるので,それを取り出し,適切な言葉(概念)を与えるのは難しい。実際,それ自体がライフワークになることも多いと思われるのだが,そこまでいかなくても,今日の実践の中で重要であることは何か,日々積み上げられる経験の中にある小さなエビデンスは何か,それを正確に捉えることから始められればと思う。そのための1つの工夫が,自分の看護実践から生じたできごとを振り返ること(「できごとリフレクション」)である(詳細は前稿参照)。
しかし,私たちは皆,「自分」という思い込みにとらわれた檻の中で生きており,自分ひとりでは,生じたできごとを振り返ることは難しい。そのため,当事者である自身の言葉を投げ返し,問い,当事者の自己理解を促す相手が必要となる。本稿ではその当事者を臨床看護師,相手をファシリテーターとし,ある事例に基づく両者の対話を通して,「何が起こっていたのか」を明らかにしていく具体的なプロセスを示し,実践の中で起こった「できごと」を捉え,それをエビデンスとしていくためのヒントを得たい。
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