特集 理論をつくる・つかう・つたえる—実践にいきる理論構築に向けて
セッションC「つくる」—概念をつくる・理論をつくる
【事例(理論構築2)】状況特定理論構築への挑戦—DLWS理論の構築
坂下 玲子
1,2,3
,
小野 博史
2
,
中西 永子
2
1兵庫県立大学
2兵庫県立大学看護学部
3兵庫県立大学臨床看護研究支援センター
pp.58-68
発行日 2022年2月15日
Published Date 2022/2/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1681201960
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はじめに
本稿においては,私たちが状況特定理論構築にチャレンジした過程を示したい。本稿のねらいは,誰でも気軽に理論構築に取り組めるように,その道筋を示すことである。本理論の素材は,2012年より日本学術振興会科学研究費の助成を受けた「食からはじめる高齢者福祉施設における生活の再構築」の研究において,介入モデルを展開したときから形づくられてきた。しかし,理論という形にしようと考えたのは,2019年にDr. Imから状況特定理論の本を出版するので執筆しないかと,お声をかけていただいたのが契機だ。それまで,上記の介入モデルは理論に近いものと考えていたが,実際に理論に仕立てる過程でこれまで不足していた多くのことを学び,違う地平線をみることができた。特に,理論の前提,哲学的な背景を明確にすること,理論の要素をひとつずつ吟味し見直すことで,どのような看護介入を実践しようとしたかがより明確になった。本理論は英文で出版するために構築したので,英文のタイトル「Dining supports for life enhancement at welfare facilities for seniors in Japan(DLWS理論)」が先につけられた。日本語では,「高齢者福祉施設での活き活きとした暮らしを支えるための食支援理論」という意味である。なお,本理論の詳細は,前述の成書(Sakashita, Ono, & Nakanishi, 2021)を参照してほしい。
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