特別記事
「手」を用いる看護技術の重要性を改めて問う—女性の下肢の「むくみ」と用手リンパドレナージの効果に関する研究を通して
中尾 富士子
1
,
樋口 有紀
2
,
小濵 京子
2
1熊本県立大学総合管理学部総合管理学科
2熊本大学医学部保健学科
pp.308-311
発行日 2019年7月15日
Published Date 2019/7/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1681201649
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女性の「むくみ」への関心
筆者が初めて女性の「むくみ」に関心をもったのは,高知女子大学(現高知県立大学)大学院看護学研究科在学中であった。その当時は,外来化学療法室設立がニュースになるような時代であり,そのため,外来で化学療法を受ける患者数が徐々に増え始めたころであった。
このような背景の中,「外来化学療法を受けている乳房切除術後患者のTransition」を修士論文のテーマとし,乳房切除術を受けた後も外来で化学療法を受けている対象者が,その状況をどのように捉え,そして自分なりの生活を獲得するまでにどのような思いを抱き,どのような体験をし,いかに対処しているかなど,一連のTransitionの過程について面接法により聞き取った。この過程で,片方の乳房の全摘出術と腋窩リンパ節切除術後の対象者に面接をする機会をいただいた。当初,筆者は,対象者が続発性リンパ浮腫を発症されていることに気づかなかったが,対象者が明るい声で「腫瘍は取り切ったけど,その代わりにリンパ浮腫をもらった」とおっしゃり,さらに「命をいただいたから1勝1敗ね」と笑顔で話されていた姿が,いまでも忘れられない。
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